車は遊園地に向かって疾走していた。
車内に飛び込んでくる陽光が、
どこか寂しげなミョンヒョンの瞳にぶつかり悲鳴をあげた。
ジュンウォンがアクセルをふむたび、
白い陽の光が、飛び込んでは砕け散る。
ミョンヒョンが深いため息をついた。
「どうした?疲れたのか?」
「ときおり悲しみを感じる人がいたの」
答える代わりにミョンヒョンは奇妙な話を始めた。
「ある日、その人のところに
ときおり喜びを感じる人が訪ねてきたの」
「・・・」
「二人はお互いの悩みについて真剣に話し合い、
お互いを羨やんだそうよ。
そして二人は一緒に住むことにしたの。
それで幸せになれるんだと考えたの。
でも、予想もしなかった問題が起きてしまったの」
「どんな?」
「ある日、一人が悲しみを感じていたとき、
もう一人が喜びを感じてしまったのよ。
二人は深刻に悩んだそうよ。
さんざんに悩んだ末にひとつの答えをだしたの。
どんな結論だかわかる?」
「いや」
「この世では幸せにならないことを悟ったの。
二人は長い長い遺書を残して、一緒に死んだそうよ。
お葬式のとき、牧師がこういったんですって。
"二人の死は、平凡な人が
平凡な生を望まなかったことに原因がある・・・"
ヘンな話でしょ」
ミョンヒョンがCDプレーヤーのスイッチを入れた。
「この歌好き」
ミョンヒョンは小さな声で唄いはじめた。
「歌詞が気に入っているの・・・
夢を見れば・・・
あなたの夢を見れば
いつかきっと
わたしの願いがかなう・・・」
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