一階、VIP専用駐車場。
駐車場ゲートに
ミョンヒョンが姿を現した。
銃口が大統領と主席を狙う。
障害物は何もない。
ミョンヒョンが引き金を引こうとしたその瞬間、
照準の中に一人の男が入った。
ジュンウォンだった。
ミョンヒョンはやっとの思いで引き金を引くのを止めた。
次の瞬間、警護チームが敏捷に動き
ミョンヒョンを取り囲んだ。
ジュンウォンは銃を構えたまま、
ミョンヒョンに歩み寄った。
ジュンウォンは、ミョンヒョンの額に銃を突きつけた。
同時に彼女の銃口もジュンウォンの額にある。
銃を握る二人の手が震えた。
ジュンウォンがゆっくりと口を開いた。
「顔をよく見ておきたかった・・・」
「 ・・・・ 」
「言っておきたいことがある」
「 ・・・・ 」
「愛していた・・・・心から・・」
ミョンヒョンの肩がかすかに揺れ、
熱い涙が滴りおちた。
「はじめはショックだったが、今はもう大丈夫だ」
「 ・・・・・ 」
「・・・守ってやることは出来ない。・・すまない」
ジュンウォンの目から涙が一筋つたって下に落ちた。
重い沈黙が二人を覆った。
突然,、ミョンヒョンは銃をひるがえし、大統領を狙った。
「だ、だめだ!」
叫ぶと同時に、ジュンウォンはミョンヒョンを抱きしめようとした。
次の瞬間ジュンウォンの銃から耳をつんざく音とともに
飛び出した銃弾がミョンヒョンの喉を貫いた。
ミョンヒョンの後頭部から血が噴き出し、
手にしていた銃が下に落ちた。
目の前の現実が信じられないというように、
ジュンウォンは両目を大きく開き、
腕の中のミョンヒョンを見下ろしていた。
静まり返った駐車場に、
慟哭するジュンウォンの声が響いた。
既に息することのないミョンヒョンの肉体を
ジュンウォンは両腕でかき抱いた。
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