昔々(むかしむかし)

未だ(ま )夜空(よぞら)(ほし)(かがや)いていなかったほど(むかし)

広い(ひろい)この()片隅(かたすみ)

(うそ)(くに)という

中々(なかなか)どうして厄介(やっかい)(くに)がございました。
 

(なに)から(なに)まで(うそ)彩られた(いろど       )

この(くに)治めます(おさ     )るは、

(うそ)女王(じょおう)

 

その御姿(おすがた)かたちも御言葉(おことば)も、

女王様(じょおうさま)におかれましては

(うそ)(うそ)まで(うそ)なのですが、

だからこそ却って(かえ   )

真実(まこと)お分かり( わ  )になる御方(おかた)でした。
 
 
 
けれど(てん)なる定め(さだ  )として

一度(いちど)でも真実(まこと)(くち)にしようものなら、

その御命(おいのち)

たちまち失われて(うしな        )しまうのです。

 

(なん)素晴らしき(すば   )定め(さだ  )!」

だから女王(じょおう)はそんな(うそ)をついて

(てん)栄光(えいこう)あれぞかしと

嘘涙(うそなみだ)流す(なが  )ほかありませんでした。

 

 

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