イスラエルとパレスチナの子供を追ったドキュメンタリー映画『プロミス』で描かれた現実は、あまりに衝撃だった。お互い憎しみ逢う教育を受ける彼らは、口々に「殺してやる!」と罵るのが日常だ。 距離にして車で20分のところに住みながら、会うことは許されない。それがあるとき、ドキュメンタリーの監督が「お互い、会ってみないか?」と子供たちに提案する。 子供たちの目は輝く。好奇心と一抹の不安。イスラエルの子供たちが母親に連れられ、検問所を通って、パレスチナの子供たちのところへ行く。生活の落差はいやでも目に飛び込んでくる。 しかしそこはやはり子供同士、すぐに打ち解け、サッカーを楽しむ。人と人とが直接会って話せば分かり合えるんだよと、無邪気な顔を見せる。が、すぐに気づくのだ。これはつかの間の友情にすぎない、簡単には真の友情にはなりえないんだと。 パレスチナの子供が、監督に食ってかかる。「ひどいよ。今日はこんなに楽しかったけれど、あなたが去った後、残された僕らはどうやって会えばいいんだよ。どうやっていけばいいんだよ」と。 それを聞く監督も、うなだれたまま涙を堪えきれない。 映画は、その数年後も追っている。パレスチナの子供達は、何度かイスラエルの子供に電話をした。しかし、イスラエルの子供は、既に学校のバレーボールがうまくなることに夢中になっていて、関心を示さない。結局、会えたのはカメラの前で一度きり、だった。 富める者と貧しき者。その格差は、現実打破への温度差にも繋がる。希望と現実の間で号泣する子供を見て、私も激しく揺さぶられた。 佐々木恭子「恋恋シネマ」から
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中立的視点と編集のせめぎ合いの中でいい。でもつらい 『友達になれた。でも、きっと友達になれたことも忘れていくんだ。』 |
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