- 170 名前:ボヘミアン投稿日:01/12/04
13:15 ID:Y/butMt8
- それからしばらく経ち、彼女は一般病棟の個室に移ることになりました。医者が言うにはもう長くないので、少しでも家族が長く一緒に入れるようにとの配慮だそうです。
僕は1日のほとんどをその部屋ですごすようになりました。何もする事もなかったのですが、話かけると声が届いてるような気がして、耳元で歌を歌ったり、話し掛けたりしていました。
そして夜が明けて昼すぎになると、医者と看護婦が入ってきて、みんなを呼んでくださいみたいになって、みんなが見守る中、心拍数を表示しているピッピッってなる機械に異変が見られるようになりました。
最後まで僕に片方の手を握らせてくれた
彼女の家族に感謝しています。
それから1時間ほど経った後、
そのまま静かに心臓が停止しました。
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僕も含め部屋にいる人みんなの泣き声だけが聞こえてきて、覚悟はしていたものの、本当にこうなった事が信じられなかったのですが、医者の何時何分とかっていう声に現実に引き戻されました。
そして部屋にいる全員が驚く事が起こりました。
僕が握っていた彼女の手がものすごい力で僕の手を握り返してきたのです。
僕は本当に驚いて多分変な声を出していたと思います。しばらくして彼女の手からスーっと力が抜けていきました。
僕は涙はふっとんで、全員にその事を伝えました。
すると彼女の母親が、「きっと、一生懸命看病してくれたから「ありがとう」って言ってるんやで」って言ってくれました。
冷静に考えると死後硬直だったのでしょうけども、その彼女の母親の一言で僕は今まで道を間違わずにこれたと思います。
年上だった彼女は今では僕の方が年上です。
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