ジョンウォンは小さな写真館を営む平凡な男性。
かなり体の不調を感じていて、
友人の葬儀に行ったとき、自分の死を身近に覚えた。
葬儀から帰ると、一人の若い女性客が待っていた。
体調も良くなく、疲れきっていたこともあり、
そのお客に愛想悪くあたって追い返してしまう。
すぐに思い直して、お詫びしてアイスを奢った。
店の近くの木陰でアイスを一緒に食べる。
女性の名はタリム。
八月の暑い夏の日。
タリムとジョンウォンの出逢い。。
***
ジョンウォン。
偶然道端で、かつて好きだったジ・ウォンと
思いがけない再会。
彼女は結婚していたのに故郷に戻ってきたらしい。
忘れられない人との再会。
気持ちが高ぶる。
***
ジョンウォンは、まだ実家で親と一緒に暮らしている。
時折やって来る結婚した妹のジョンスク。
縁側で、ジョンスクと一緒に西瓜を食べる。
ジ・ウォンが夫と巧くいかず家に帰ってきていることが話題になる。
「今でもジ・ウォンを好きなのか」と妹は問う。
ジョンウォンはなにもいわず西瓜の種を庭にぷっと飛ばす。
妹も悟ったようになにも言わず一緒にぷっとタネを飛ばし
それ以上しつこく聞かない。
ジョンスクの思いやり。
***
タリム。
交通取締り官の仕事。
毎日、駐車違反者との格闘。
日常の仕事の辛さ、いらだち。
写真館に違反関連の写真を現像してもらうため
よくジョンウォンのお店に行くことになる。
いつもにこにこしてくれる写真館の店主。
ひと時の休息の場。
店でジョンウォンに毒づく。
「獅子座でしょ。おじさん」
ジョンウォンへの好奇心。
***
ジョンウォンがバイクに乗っている。
偶然タリムが重い荷物を持って歩いている。
いったん通り過ぎる。けれど・・・
・・・すがすがしい顔で二人のり。タリムと街中を疾走。
好きな人がいるかとジョンウォンがタリムにきく。
なにかの始まり?
***
写真館。
突然、ジ・ウォンが店に訪れる。
ジョンウォンが、掃除中、彼女が窓越しに映る。
なにをしにきたのか。
「なぜ結婚しないの」と、ジ・ウォンが問う。
君をまっている、と冗談めかして告白。
しかし。
・・・昔の写真を捨てるよう言われてしまう。
バスから見る街の風景。
ジョンウォンのため息。
寂しいというよりむなしい。
心に力が入らない。儚い思い出。
「愛もいつか思い出に変わる・・」
***
ジョンウォン。病院。
重い病気。何かを告げられる。
絶望的な病。
縁側。爪を切る。無心に。
何も考えられない。考えたくない。不安。
だから。
昔の友人に連絡。会いに行く。
飲めない酒を飲んで酩酊。
もうすぐ自分は死ぬ運命だと冗談めかして告白してしまう。
「こんな風に酔って騒げる日があと何日残っているのだろう」
死が近づいてくる。憔悴。
酒乱。乱闘。
警察で錯乱。号泣。
***
翌日。
ローアングルからの縁側。
二日酔い。
昨日の出来事を何も覚えていない。
***
写真館。
タリムが窓越しに現われる。
「そっちにいってもいい?」
おどけた会話。
「なぜ結婚しないの」
「忙しいから」
***
タリム。
化粧品を買う。
写真館のおじさんを意識して。
彼のため?まさか・・・
***
写真館。
ある家族の写真を撮る。
おばあさんだけ別に撮る。
***
雨。
ジョンウォン。
道端でタリムに偶然会う。
相合傘に一緒に入る。
「仕事のあと、奢るからお店においで」
と、不意の約束。
彼女の肩が雨に濡れないように傘を傾ける。
ジョンウォンの優しさ。
やっぱり彼が好き・・・
タリムの胸の高鳴り。戸惑い・・
ジョンウォン、店でタリムを待つ。
約束したのに、なぜか彼女は来ない。
かわりに。
昼撮ったおばあさんが正装して一人でやってくる。
お葬式に使うという。
おばあさんの写真を撮る。
おばあさんの気持ちが近くに感じられる。
***
ジョンウォン。
家の縁側から外の雨を見る。
寝れない。雷の音。死の恐怖。
子供のように父親のベットに潜り込む。
***
雨が上がる。
タリムはなにに悩んでいるのか。
写真館を見つめる。
お店に寄らず、窓越しに見送る。
乙女心。不明。
***
ジョンウォン。
幼なじみの友人達とのキャンプ。
最後の想い出になるかも知れない。
死を知った親友の思いやり。
親友の優しさ、せつなく心に残る。
みんなで写真を撮る。
***
写真館。
残された食器をきれいに洗う。
自分が死んだあと迷惑をかけないように。
残された日々に何をすべきか?
些細なことが気に掛かる。
ビデオの操作法を父親に教える。
自分が死んでもいいように。
父はなかなか覚えてくれない。
苛立ち。
父の好きな映画。
〜映画「地上より永遠に」
冷静になり、自分がいないときのことを考える。
父のためにビデオの取り方、マニュアルをつくる。
自分が死んでもいいようにー
***
唐突にタリムがお化粧してお店にやってくる。
写真館の中でお酒を飲む。嬉しい。
彼女からの遊園地への誘い。
***
デート。
ジェットコースター。
ベンチ。アイスクリーム。
ジュース。楽しい思い出。
学校。
校庭を走る。銭湯。ミカン。
屈託のない笑顔。
兵隊がオナラをする。という可笑しくて恐い話。
タリムの方から腕を組んでくる。
「幽霊もおならをするの?」
秋、落ち葉の舞う中、彼女の想い。
恋心。
***
病院。
死期が近いことを宣告される。
現像機のマニュアルづくり。
もう店にも出られなくなるだろう。
枕に押し殺すように嗚咽。
父親が泣き声を聞いてしまう。
***
タリム。
夜、化粧してお店にいってみる。
待っても待っても、彼はこない。
せつない・・・
***
ジョンウォン。実家で倒れる。救急車。入院。
***
タリム。転勤決まる。
お店にいってみる、店が閉まっている。
どうしたの・・・
いくら待ってもやっぱり彼は来ない。
転勤の知らせ。自分の想い。手紙を書く。
店のドアに手紙を差し込む。もどかしい気持ち。
ドアの隙間に挟もうとして、やっぱり抜き取ろうとしたら
店のなかにポトリと落ちてしまう。
悲しい
いついっても、店は閉まっている。
転勤のための証明写真は、
なんと他の店で撮ることになってしまった。
彼女は彼が体が悪いことをしらない。
***
病院。
ジョンウォンがベッドに横たわっている。
タリムを悲しませないように。会わないことを選ぶ。
***
タリム。送別パーティ。
ディスコの喧噪。空虚。楽しくない。
会いたい。ジョンウォンに会いたい。
夜中、ジョンウォンの写真館に行く。
誰もいないお店の窓ガラスを割ってしまう。
***
ジョンウォン。一時的な退院。
随分店を空けていた。
久々にお店に顔を出し、店の整理。
タリムの手紙を見る。彼女の想いを知る。
タリムに逢いたい。
そのまま思わず、彼女の転勤先に行く。
しかし。いなかった。
近くのカフェで休む。
窓際に座る。
窓の向こうに仕事中のタリム。
いた
窓に手を合わせて彼女を見送る。
声をかけない。かけられない。
自分が死んでタリムを悲しませないように。
窓のガラスに映るタリムの姿を指でなぞる。
いとおしい。
その姿をー
写真のように焼き付けて、
その想いを心に残そう。
***
写真館。
タリムあてに書いた手紙。
出さないことに決める。
自分の想いを胸にしまう。
窓の外を見ると、木々はすっかり枯れている、
初めてタリムとアイスを一緒に食べた場所には誰もいない。
あたりはいつのまに淋しい冬景色
昔のアルバムを見る。
自分の写真を撮る必要があることに気づく。
ジョンウォンは自分で自分のポートレートを撮る。
遺影のために。
・・ジョンウォンの遺影・・
***
クリスマス。
タリム。お店。
残されたお店には彼女が映っている写真が飾られている。
綺麗にとれている。
END
⇒タリムあてに書いた手紙
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